を遅ればせながら観てきた。なんといっても天下の宮崎作品、今回も素晴らしい出来・・・といきたいところなのだが、これに限っては「宮崎さんにしては・・・」というイキきらなさを感じてしまったのも事実。もちろん、さすが宮崎さんと唸らされる、ドキドキしたり、ワクワクしたり、じーんとしたりできる素敵な場面が随所にある。一場面一場面をとってみれば、さすがの宮崎作品、なのだ。
しかし、これが今回"イキきれなかった"最大の要因なのだけど、それらの一つ一つの場面の繋がり=ストーリーという点で、ひどくちぐはぐに感じるところが少なくなかった。悪い言葉を使えば、ツギハギみたいに感じてしまったのだ、全体的にみると。端的に挙げると、ソフィーとハウルの物語のなかに繰り返し挿入される戦争の描写がひどく唐突で、それまで感じていたドキドキとかワクワク、物語としての爽快感がそこでいきなり分断されてしまう感覚が終始ついて回った。ソフィーとハウルの恋愛物語と、戦争描写の部分が上手くリンクしていなくて、バラバラに存在している感じ。これは「宮崎さんにしてはちょっと・・・」と思ってしまった。
というか、わりと直接的に反戦的な台詞や描写が何度も出てくるので、そっちにテーマがあるのかと思いきや、エンディングの決着のさせかたを見ると―戦争を悪とするハウルが、守るべきもののために自らが悪魔となっても戦う、という場面ではそれなりの逡巡が感じとれるものの―やはり主要なテーマはそっちじゃなくて、あくまでソフィーとハウルの恋愛物語なのだ(というか、そう思って観たほうが良いのだ)、と気付く。で、そう気付いた頃にはもうスタッフロールが流れてしまっている。このあたりも"イキきれなかった"要因のひとつかな。スタッフロールが流れてきた瞬間、「あ、こりゃもう1回観なきゃわからんな」と思ったもの。でも今までの宮崎作品でそういうことはなかった。エンタテインメントとしてのカタルシスを満たしながら、同時に作品ごとのテーマもしっかり消化することに成功していた宮崎作品だから、「もう1回観なきゃわからん」と自分が思ってしまったことは、ちょっと自分で寂しかったんだよねー。今回はどっちも中途半端。
ソフィーが呪いをかけられてハウルの城に辿り付くまでの顛末とか、掃除や食事や洗濯のシーン、美しい湖畔のシーン、ソフィーを含めたハウルの城に住む"わけありな"住人達のファミリー的な描写など、特に前半における何気ないいくつかの場面がとても好きで、印象に残った。じーんとしたりもした。
そうだ、場面によってソフィーが若くなったり老けたりするところも何かテーマが込められてるんだろうけど、これももう1回観なきゃわかんないな。
キムタクのハウルは全く問題なかった。いっぽうソフィーの倍賞千恵子のほうは正直、違和感ありまくりで、冒頭で早くも"?"になってしまったのが残念。倍賞千恵子じゃなきゃいけない理由がわからない。
posted by TSUKASA at 23:18|
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